ある臨床心理士のココロノウチ

自分自身の自己一致をめざして、なるべく心の中を正直に、思ったことや感じたことを素直に記して行こうと思います。

事例検討会に参加して

しばらくここをさぼっていた。

公認心理師は無事に合格し、私が複雑な気持ちで見守っていた後輩は不合格だった。

正直なところ、ほっとした。

でも、今日はそれよりも、最近あった事例検討会のことを振り返ろうと思う。

1日に3ケースの事例を検討するみっちりな内容のものだった。

私はその中で、死をテーマとするケースに、自分の感情が揺さぶられた。

自分に身内を亡くした経験があるから、というだけではないと思う。

セラピスト(Th)に対して、怒りに近い感情が込み上げて、黙っていられなかった。

高ぶる気持ちを抑えて、なるべく冷静に感想を言うことに、とても緊張を感じた。手先が冷たくなって、お腹も痛くなりそうだった。

亡くなったクライエント(Cl)が残してくれたケースについて、私が感じたことを述べなければ、Clに申し訳ないと思った。

それは、私から見るとあきらかに、ClがThを拒絶していると思われるのに、そのことにThが気づいていないと思われることだった。

でも、それをThに伝えることは、Thにとってとても手厳しい、ダメだしをすることになる。

けれど、そのことに気づかなければ、せっかくの事例をもってきてくれたThにとっても、あまり意味がないのではないか。

数名の方の感想を聞いて、そのことに触れる人がいなかったので、私はなるべく正直に、グダグダながらも感じたことを率直に、感想を述べた。

普段カウンセラーとして、人に対してある意味やさしい言葉かけをすることには慣れているものの、手厳しい意見を言うことには慣れていない。言いにくいことを、いかに相手に伝えるか、これは本当に難しいことだ、としみじみ感じたのだった。